top of page

衣更真緒&朔間凛月がW主演 映画「あの部屋」インタビュー

  • naultellas
  • 2020年11月14日
  • 読了時間: 7分

公開延期になっていた映画「あの部屋」が、11月30日よりついに全国公開となる。宮城のESシネマズ仙台では先行上映が行われており、11月23日より大阪・シアタースターメイカー難波、11月25日からは愛知・NDシネマ名古屋でも先行上映される。


本作は、全国共通書店フェアで書店員選抜部門1位に選ばれた葛野五咲の同名小説が原作の物語。幼なじみの二人、鶴木将(つるき・まさ)と浅間璃央(あさま・りお)が共同生活を送る様子から始まるサイコホラー。木川田祐来監督と脚本家の米文夏乃がタッグを組んだことでも話題を呼んでいる。


EnsemblePressでは、将役の衣更真緒と璃央役の朔間凛月にインタビューを実施した。私生活でも幼なじみである二人。プライベートではじっくりと語り合うことが少ないという彼らに、ベストシーン、この映画への思いなどを語ってもらった。


──撮影から時間が経っていますが、お二人でこの映画について話したりはしましたか?


朔間 先月末くらいにしたよね?


衣更 あー、したな。 たまたま待機時間が被ってて、コーヒーか何か飲みながら。


朔間 何でそんな具体的に(笑)。公開日決まって良かった〜、っていう話をしました。ま〜くん、気にしすぎてそわそわしてたから(笑)。


──(笑)。衣更さんと朔間さんは幼なじみということでお互いのことをよくご存知かと思いますが、初共演となった他のキャストの皆さんに対してはどのような印象を抱いていますか?


朔間 璃央がお世話になる湊医師役の真倉彰さんはすごく頼りになって、包容力ってこういうことかぁ、と思いました。役の上ではすごい怖いんですけど……ね?


衣更 あ〜(笑)。俺、最初に一緒に撮影させてもらった時、ご挨拶もそこそこに湊医師に暴言を吐くシーン撮らなきゃで。


朔間 「どんな風に言ってくれても大丈夫だからね」って言ってくださってたよね。俺そのシーンは出番なかったけど見学させてもらって、すごく勉強になったなぁ。


衣更 言葉で教えてもらうだけじゃなくて、仕草なんかを見ることでも勉強させてもらったと思います。俺は凛月以外との共演シーンは少なかったけど、凛月は白宮ヒロくんとかVanilla TaskのSATOSHIさんとかとも共演あったよな。羨ましい……!


朔間 ま〜くん、SATOSHIさんのベース聴きたさに別のお仕事終わりに撮影見にきてたもんねぇ。SATOSHIさんも、白宮さんからま〜くんがギター弾いてるって聞いたみたいで、ま〜くんの演奏聴きたがってたよ。


衣更 まじで?いやでもSATOSHIさんの前でギター弾くのは緊張しそう……(笑)。


朔間 あはは、確かに。でもお二人とも気さくでユーモアたっぷりな方だったから、きっと大丈夫だよ。


──「あの部屋」の原作は多くの支持を集めるサイコホラーです。映像を拝見して、展開の丁寧さと映像の工夫が印象的でした。周囲からの反響はいかがでしたか。


朔間 正直、原作がすごく大きいこともあって、どんな風に思われるのか不安もありました。でも、愛にあふれたコメントをたくさんいただけて、すごくうれしかったです。


衣更 近いところ……例えばTrickstarのメンバーやその時撮影していた作品の共演者の方からの反響ももちろんありましたし、海外の方や原作ファンの方々からもSNSなどを通して応援していただけたのが思い出深いです。あたたかい気持ちになりました。


──この作品に出演するにあたって、どのように役に向き合われたのでしょうか。近いテーマの作品を観る方もいらっしゃると思いますが、何か役作りのヒントにしたものなどはありますか?


朔間 米文さんが脚本を担当されている映画「捧旅桜」や、雰囲気の近いドラマ「キャラメルソースのお墓から」を観ました。普通に楽しんで見てしまったんですけど。脚本を読んだときに覚えた純粋な違和感のようなものをどう表現しようか考えました。


衣更 そのへんは同じ気持ちです。サイコホラーではあるんですけど、同時に友情の物語だとも思ったし、エゴの物語でもある。「違和感」という言葉では片づけられないけど、当てはまる単語は「違和感」しかないと思います。原作や脚本と向き合って、役として内側から出てくるものを大事にしました。


──なるほど。映画は時間が限られていましたが描かれていない部分の人生も想像できるような奥行きがありました。脚本にはない演技が使われている部分もいくつかあったとか。


朔間 ところどころに素に近い振る舞いが入ってるよね。「おい〜っす」とか。


衣更 そう。俺らが二人とも普段から使う挨拶(笑)。木川田監督は、良い意味で丸投げしてくださる方なのでとても伸び伸びやらせてもらいました。


朔間 伸び伸びといえば、ま〜くんがリラックスできる空気を作ってくれたと思います。撮影中はま〜くんの動きがある度に、ひと呼吸おくことができたというか。まあ、撮ってるシーンによってはま~くんが動くことで息が詰まっていく場面もあったんだけど。


衣更 (苦笑)。凛月は立ち振る舞いのいろんなところに「生きている」感じが出てた。俺でさえ脚本の存在を忘れかけるような、その役を生きている雰囲気。すごく自然に生を意識してるからこその違和感が、この作品の璃央という役に合ってた。「それだけ思い出せない」とか、短くてありきたりなのに言い方一つでそのシーンの雰囲気を変えてしまうセリフが多かった分、そこに「生きている」雰囲気があったと思います。


朔間 確かにあのへんのセリフは難しかった……。サイコホラーなので、当たり前だけど日常では言わないような言葉がいろんな場面で出てきて。そこにホラーとしてバランスの良い現実味を持たせるのは難しかったです。将と璃央がどうして今の関係にあるのかを知ってから観ると意味が変わるように、描かれていない人生をどう見せるかは悩みました。


──では、たくさんあるとは思いますが、それぞれが考える相手のベストシーンについても聞かせてください。


朔間 机で向かい合って将くんが話し始めるシーンが好きです。将くんの究極のエゴ。将くんの言葉だけが本当だからこそ、そしてそれを将くんしか知らないから……葛藤が丁寧に表現されていて好きです。


衣更 俺はやっぱり部屋での最後のシーン。あれは将にとってものすごく大事なシーンでした。璃央が駄々をこねるけど、それは素直に思いをぶつけてくれるのと同じ意味で。将の願いが詰まった時間だと思います。このシーンは役に入り込みすぎた凛月が泣き始めて……意外だったなぁ。


朔間 俺も自分で意外だった。この役は基本的に俯瞰で見てたから……でもやっぱり、あのシーンは脚本以上に駄々こねちゃった気がする。


──なるほど。将視点だと希望に満ちた場面ですが璃央視点ではそうではない。部屋でのシーンは変化もあいまってとても印象深いです。


朔間 セットすごいですよね。スタッフの方々が丁寧に準備をしてくださって。生活してる場所だということが伝わるように、謎が解けてから違和感が際立つように、っていう相反する緊張感がありました。


衣更 実は部屋のシーンは照明が特徴的なんですよ。璃央の表情と連動しているような、将の考えと連動しているような……なっ!


朔間 急に力強く同意求めてくるんだけど(笑)。でもそうだね、照明ステキだった。


──映画では原作で話題になった結末がそのまま描かれていますね。お二人はあのエンディングをどう受け止めましたか?


朔間 俺個人はとにかく悲しくて寂しかったです。でも、エンディングの部分は特に原作ファンの方にも喜んでいただけるものができたと思います。実は原作の葛野先生が、小説で使わなかった別のエンディングになる可能性もあったみたいで……それはそれで演じてみたかったな。


衣更 将を演じていた身としては、ああやって終われて良かったという気持ちと、エンドロール後の璃央を思う気持ちが半々です。将はとにかく真っ直ぐで、それが璃央にとっては残酷だったりする。それでも将は将自身の言葉で璃央への友情を示したと思います。


──では最後の質問です。お二人の人生において、この作品はどんな位置付けになりましたか?


衣更 不思議と過去と自分を振り返るきっかけになった作品です。サイコホラーというジャンルだし、演じていて苦しささえあったけど、その苦しさが作品の要素として一つ意味を持っている。苦しさが振り返るきっかけでしたね。そんな風に苦しみつつも二人で演じた彼らは、今日も生き続けていると思います。観てくださった方に何かを残すことができたら嬉しいですね。


朔間 作品を通して、将にも璃央にも救われた部分、悩まされた部分があります。挑戦の連続だったこの作品に参加できたことは生涯の宝物です。友情や愛情に正解は無いことを痛感できたし、苦しさや恐怖の果てにある何かを考えるきっかけにもなりました。将と璃央を通じて得た経験や、現場で学ばせていただいたことなどの全てが、自分の人生に活きると思います。



 
 
 

Comments


©2020 by EnsemblePress。

​当サイトは原作・アニメ・出版社・その他関係者様とは一切関係がありません。

内容に関してはフィクションであり、実在のものとは一切関係がありません。

bottom of page